どうやら風邪をひいたかもしれない。

家に帰ってきたら、なんかだるくて、今日電車のなかで、木の実とか、奇麗な色の宝石をたくさんつけた、アフリカ人の呪術師みたいなかっこいいおばさんがくしゃみを連続でしていたので、その風邪がうつったかなあ、などと思った瞬間「風邪モード」になって、途端にパジャマに着替えた。


熱を計ったけれど、平熱で、いや、おかしい、絶対熱があるはずだ、と何度も計り直したがやっぱり平熱で、こんなに「風邪モード」なのにおかしいなあ、体温計が壊れているんだと、違っても「風邪」をひいた、ということにした。TVをつけると、チベットのお坊さんがパッと映ったので、あ、なんだろ、と思って観ていると、「モンゴル」という映画の一場面だった。「風邪」なので、じっくり観ることにする。


ジンギス・カンを演じているのは日本の若い俳優で、モンゴル語うまいなあ、と思ってみてたけれど、あれ、吹き替えなのかな。誰だっけ、とても有名な俳優で、他の映画でもいろいろ観たんだけれど、名前が覚えられない。いかん、「風邪」のせいで健忘症がひどくなっている(と風邪をひいたときは、なんでも風邪のせいにする)。結局最後まで観た。


もうすぐパリがダライラマ法王に名誉市民を授与するのが楽しみだ。テレビで観れるといいなあ。今回の法王の欧州訪問を中国があっちこっちで相変わらず抗議しているけれど、毎回判で押したように抗議するのが、一種儀式化していて、もはや誰も何とも思わないような感じ。人間はすぐに慣れるものなのだ。順応性があるから。さらにパリが天安門20周年を意識したような日程で法王に名誉市民になっていただくのは、シンボリックで粋なはからいだ。誰も口では言わないけれど、意味付けがあると思うな、「人権」の街だから。


それに世界経済はもはや一蓮托生で、それぞれの通貨がそれぞれに連結しあって、各国が各国の資本でがんじがらめだから中国政府もあんまり無茶なこともできないんじゃないかな、これからは。などと「風邪モード」でぐすぐす考えた。このところ、一気に世界経済の表舞台に躍り出て、「ダライラマ法王に会うんだったら、僕たちはもう君とは友達じゃないからね」などと子供のヤキモチみたいなことを言うと、ちょっと笑われるかも。


そのあとは、カイロ大学で、「歴史的なイスラムアメリカの関係の再生、協力の再確認」を果たしたオバマ大統領の演説聞いて、「風邪」をひきながらも感激した。飛行機のタラップを一気に駆け上って、ふっと振り向いて手を振ったのもかっこよかった。今晩はドイツみたいだけれど、オバマ大統領は、パリでばったりダライラマ法王と会ったりはしないのだろうか、などと考える夜更けである。「風邪」なので、さすがにもう寝ることにしよう。