Partito Radicale

はっきり言ってイタリアの政治のことはよく分からない。右も左もしょっちゅう党が分裂したり、統合されたりと慌ただしく、いきなり今まで左のトップだったヴェルトローニが「自分の理想の政党を作ることができなかった。もう止めた。アフリカにヴォランティアに行く」と消えてしまったりというような、無責任というか、自由というか、わたしには信じられないようなことも起こり、いつも混乱状態だ。
昨日は、有名なベルルスコー二と下院の議長であるフィー二の党が統合され、Popolo della liberta`(自由国民党)というのが出来た。巨大な右派連合の実現であるが、わたしはイタリア人ではないし、選挙権もないので、コメントは控える。ただ、トップのベルルスコー二の就任演説を聞いていて、この人がファシストだと非難されるのはよく分かる。国際的には彼の失敗談や失言が強調されて報道されているから、よくこんなおばかさんを首相に選ぶね、イタリア人ってほんとにお気楽、みたいに思われているみたいだが、どうして、どうして。ベルルスコー二は有能かどうかはともかく、めちゃくちゃこまわりが利く、辣腕マネージャーである。失言を繰り返したりするのも、どこか計算づくっていう感じで、世界で自分のおばかさんぶりが報道されているのを面白がっている節もある。ただものじゃないよ。植毛もしてるし、リフティングもしてるし、若返るために体内の血液を総替えしたって噂もあるくらいだから。それにあっちこっちのクラブに出没して、朝まで下品な冗談言ってるらしい。
そのベルちゃんの演説。わたしみたいに部外者で参政権がない外人が聞いていると、わ、すごい、計算されている。こりゃシャーマンだ、間といい、ジェスチャーといい、今現在の経済危機で困窮している善男善女は陶酔するだろうなあ、と感心する。なにしろイタリアには再び奇跡が起こる!みんなで一丸となって頑張ろう!と信念を持って語り、政策だって魅力的。イタリアは不滅!国歌も斉唱するぞ。(再びって、以前いつ奇跡があったのか知らないけれど・・・戦後復興のことか。それとも野原で子供が遊んでいると、マリアさまが忽然と現れたとか、その類か?)、テレビを見ていて、これは全体主義だなあ、古くさいなあ、ムッソリーニみたい、あぶないかもね、と思ったけれども、わたしには参政権がないからどうでもいいのだ。ここが嫌になったら、またどこか行くさ。

ところで、もしわたしに参政権があったなら、どの政党に一票入れるか、と問われるならば、迷わずPartito Radicaleを選ぶであろう。なぜならHeadのマルコ・パンネーラをはじめ、政党ぐるみ、何十年もの歴史のあるチベットサポーターだからである。
この政党はもともとは極左の出自だが、今では右、左のどちらにも属せず、ひたすら基本的な人権のために、本当に働いている。チベットだけではない。ホモセクシャルの人、女性の基本的人権カトリック権力への抗議・・。なによりこの政党から政界入りした人々は、質素な暮らしをしながら、弱い人々のために働いているのが素晴らしいと思う。今、チベットの中国抗議のための政治グループを仕切っているマテオ・メカッチという議員は若く、ハンサムで、敏腕な政治家だ。チベットの、どんなちいさい政治集会にも必ず顔を出すし、今日はイタリア外務省のクラクシーっていうbis presidenteから、EU議会の際にダライラマの外交官と会うという約束をとりつけた。Radicaleの議長ブルーノ・メラーノとともに、チベットの重要さを国際政治の場へと広げるために労を惜しまない姿勢は頭が下がるのだった。
こういう人々の働きが、一日も早く実ることを、わたしは心から願っている。

しかし明日は試験だ。はやく終わらせねば・・・・。
パンネッラさんとメカッチさん。パンネッラさんは80歳なのに、今でも夜行列車で移動している。すごいね。