パンチェン・ラマの誕生日は署名集めで。

今日のローマは快晴。目映いばかりの太陽で目が痛くなるほどだった。気温は上がっても、ずっとぐずついた毎日が続いていたので、街行く人の足取りも軽やかで、気の早い人はタンクトップを着て歩くほど。築300年、400年は当たり前、築100年だと「お、ずいぶん新しい建物に住んでいるんだねえ」などと言われるローマだ。しとしと雨の降る日の夕暮れは、それはそれでまた違った趣もあるけれど、蓄積された時間の重苦しさで圧迫感があり、気も滅入る。そんな日は、気分が天気に著しく左右されやすいという気性を持つイタリアの人々もいきなり不機嫌になり、眉間に皺を寄せて憂鬱そうにとぼとぼ歩くので、わたしも同じようにとぼとぼ歩く。今さら何だけれど、こんなに空が真っ青な日の太陽ってやっぱりいいものだなあ、と今朝、改めて思った。


さて、パンチェン・ラマの誕生日の今日、イタリア各地のチベット仏教センターで祈祷が行われたが、ここローマのラルゴ・アルジェンティーナでは予定通り、パンチェン・ラマ解放、そして先に中国政府により不当な死刑宣告を受けたチベットの青年たちのために署名が行われた。例のコリエレ紙の報道については、誰も気にかけた様子などなく「あんなのは嘘である」、と話題にも上らなかった。わたしは午後から出かけたが、ローマに住んでいるチベット人有志は、Partito Radicaleのメンバーの人々と協同で、朝の10時から夜の許可の降りている8時までテントを張って、街行く人に声をかけた。

こんな感じでした。


ローマらしいでしょう。ビチ(自転車)で颯爽と現れた青年も署名してくれた。

もう何年もTibetan Woman's Associationのイタリア支部を切り盛りしているDechen(政治家にも、サポーターにも有無も言わせず、びしびし指図する。チベットの女性はすごく強いのだ)Laogai(中国のアウシュビッツ、強制労働収容所 Harry Wuの著作に詳しい)foundationローマ支部のMariavittoriaさん。
その他にもローマに住んでいるチベットの青年、娘たちのグループ写真が何枚もあるのだけれど、そのうちの何人かはチベット内部に家族がいるためアップしません。何されるか分からないから。


途中、広場を歩いていた日本人数人に、「行って署名してもらってよ」と皆に命令されたので、傍まで駆け寄り、「あの〜チベットのパンチェンラマ解放の署名お願いします」と言ったのだが、突然日本語で話しかけられて驚いたのか、あやしい人だと思われたのか、「いやいやいや、どうもどうも、ちょっと、あの」などと意味不明の反応で、逃げるように立ち去られてしまった。日本人はあんまり署名慣れしてないし、外国で見知らぬ黄色い鉢巻きした日本人に声をかけられてびっくりしたんだね。それを見ていた皆から「ちぇ、つまんねえな、日本人って」とゲラゲラ笑われたのである。


ところで、イタリアには約250人のチベットの人々が住んでいる。他の欧州の国、例えばスイスやフランスに比べると断然少ないが、少ない分、みんな顔見知りで、比較的連帯感があると思う。みんなすっかりイタリアナイズされていて、「チャーメン」もスパゲッティで作るのだ。
そのうちローマに住んでいるのは20人ほど(ミラノのほうが断然多い。あとは各地に分散しているが、イタリア北部に住んでいる人々が多い)。チベット内部の緊張がこれほど高まる去年までは、誰かの家に集まったり、ボルゲーゼ公園にピクニックに行ったりしていたのだが、今はそれどころではない。


しかし、世界の人口が68億弱に対して、チベットの人は約600万人。そのたった600万人の人々が、世界の注目を集め、ああだ、こうだと世論を動かすなんて、すごいことだと思いませんか? 

そしてちなみに、今日はイタリアのLa festa di liberazioneで休日。イタリアがファシズムから解放された日だ。『言挙げ』するには、幸先がいいかも。
そこでしっかり「言挙げ」をしておきましょう。
TIBET LIBERO!!!Panchen Lama libero libero libero libero!!