イタリアの宝くじ。ちょっと景気のいい話。

宝くじで10,000ユーロが当たった!

といっても残念ながら、わたしの話ではなくて、友人たちと協同で、アイロンがけやお買い物、場合によってはお掃除を手伝ってもらっているフィリピンの可愛い女性の話だ。彼女は他に仕事をもっているが、パートタイムでちょっとアルバイトもしたい、ということで、独りものの男の子や、仕事で忙しくて買い物ができない女性だとか、みなで時間を打ち合わせて、じゃあ、短時間づつお願いしよう、とそれぞれ週に3時間ほど来てもらっている。わたしはなぜ、一日に二回もシャツを着替えるのかまったく理解できないのだが、むやみやたらに思いついたようにシャツを着替える困った同居人のために(しかし、お洒落だからではないのだ。本当にどういうわけか、はっと思いついたようにシャツを着替えていて、なぜ着替えるのか問いただすと、本人もさあ、なぜだろうか、と言っている)アイロンをかけてもらうために土曜に来てもらっている。ちなみに3時間で25ユーロ。クリーニングに出すと40ユーロはゆうにかかるので、みんなとても助かっている。そのうえ、性格もとても明るく、にこにことはにかみながら、がんがん仕事を片付けてくれるので、みんな彼女が来るのが楽しみだ。ちなみに彼女には、なかなかハンサムな夫と可憐な6歳の娘がいる。


その、そもそもいつも機嫌のいい彼女が、先週の土曜はさらに機嫌がよく「何かいいことでもあったの?」と聞くと、ふふふっと肩をすくめて笑って「アビ(娘)が水泳大会で一等になったから」などと言う。わたしはそうか、娘ちゃんのことが嬉しいのか、と思っていたが、アイロンをかけながら鼻歌を歌ったり、「ハリシュマに今度、何かプレゼントをあげるね。何がいい?」などと尋ねてくるし、わけも分からず、気楽に「わあ、プレゼント? うれしい。何がいいかなあ」と一緒に調子にのっていた。


と今日のこと、彼女にお掃除を手伝ってもらっている友人から電話がかかってきて、「知っている? 彼女、宝くじが当たったんだよ。なんと10,000ユーロ! すごいね。ラッキーだね。幸先いいよ。彼女に手伝ってもらっている僕らにも幸運がおすそわけされるかも」などと早速、イタリアの宝くじ、グラッタヴィンチ(コインでこすって、当たりが出るというもの)を試したと言う。なるほど、納得。彼女、それであんなに機嫌が良かったんだね。しかし、わたしの友人はほとんどみんな、あまり物事を深く考えない、どちらかというとお調子ものが多く、したがってその話を聞いたわたしも類は類を呼ぶ、で「そりゃ素晴らしい。あやからないと」とさきほどたばこ屋さんで早速10ユーロほど試したが、それほど簡単に幸運は舞い込んではこないのだった。


しかし30ユーロくらいの額なら、何人かの友人が「当たった、当たった」と大喜びしているのに遭遇したことがあるが、10,000ユーロというのは初めて聞いた。グラッタヴィンチは、当たらないもの、と思っていたが、当たるんだね。しかも元手は5ユーロだったそうで、よかった、よかったと、何故かわたしたちも喜んだ。このような幸運な話が周りにあるのはいいものだ。そういうわけで、彼女たち家族は、この夏やすみ、フィリピンに豪遊しに帰るのだって。気持ちよさそうだな。