イタリアはバカンス入り

日本のネットの世界で活躍しているという青年のビデオインタビューを観て、ほおっと思ってブックマークしておいた。日本の若い青年層の精神性を分析するのに、今後役に立ちそうだと思ったからだ。「新聞は読まない」理由は、だって自分の住んでいる世界には関係ないところで起こっている話を(たとえばウイグル地区のことを例にあげ)読んでも意味ない、という発言、インターネットはどうせ暇つぶしにみんな使っているんだから、という発言、わあ、やっぱりこの世代はこう思っているんだ。彼の発言こそわたしが日本の若者に感じていることだなあ、と思ったのだった。こういう青年にとって、自分と自分の周囲だけが世界なんだな。宇宙全体が有機的に繋がっていて歓喜のダンスを踊っている、とは考えられないから、こういう発言になるんだろう。


70年代の青年も「しらけ世代」とか言われたらしいが、わたしは2000年世代も、社会への(MJだって20年前にWe are the worldって歌ったのに)コミットメントが希薄だなあ、と思う。まあ、いろんな若者がいるとは思うけれど・・・。彼はネットという、宇宙みたいな無限のスペース上でビジネスしているのに、これじゃまるで内輪で楽しむ国内ネット、暇つぶしな情報鎖国だな。寂しいことだが、日本の青年に大望を持ってほしいと期待するのはあきらめて、このまま日本情報文化のおたく化を、これもよし、島国だからしかたない、と思うしかないかもね、としばしデカダンな気持ちにもなる。いやいや、そのうち、いい感じのミュージシャンとかアーティストが現れて、グローバルに日本の深層を表現してくれればそれでいいさ。がんばれ、アーティスト! そして少なくとも、英語だけはしっかり身につけるのだ。昔、外国の言語をいい加減な気持ちで勉強したわたしは、いま外国で苦労しているから声を大にして、そう叫びたい。どんなに素晴らしい、天才的なアイデアも、伝達手段がなければ、風に舞い散る砂塵でしかない。世界は大きいよ。


ところでスーチーさんの判決がまた延長したようだ。こうして延長、延長を繰り返して、不気味な沈黙を保つことによって、当局は世界の関心を遠ざけようとしているのだろうが、バカンスに入っても、ビルマ関係のメイルはぐるぐる回ってくる。バカンス中でも、みんなネットでちゃんとリサーチして、連絡を取り合っているのは、たのもしいことだ。


暑い暑いローマは人通りがぐんと少なくなった。イタリアはいよいよバカンスの季節、わたしもしばしフェードアウトして、あっちこっちに足を伸ばす予定。チベットのことも、もっと勉強する計画を立てている。しばらくは実験的にTwitter中心にしてみようかな、などとも考えている。ブログも書こうと思っているけれど。

ところで、このところ、イタリアについても、日本についても批判的なことばっかり書いているが、本当のことをいえば、わたしはイタリアのことも、日本のことも、世界のことも、とても愛していて、みんなができるだけ自由にのびのび暮らせればいいのになあ、と思っている。こんなに世界が近くなったんだから、一人一人が自覚を持って暮らして行けば、世界のどこかで大変な状況で暮らしている、知らない人々のためにも、ちいさい助けになるかもしれないじゃないか、と思うのだ。ミクロはマクロと繋がっているし、マクロはミクロと繋がっているし、いいエネルギーを発すれば発するほど、自分にも帰ってくるんではないかしらん。愛の対義語は「憎しみ」ではなく、「無関心」というのを昔誰かから聞いて、なるほどね、と思ったが、人を慈しみ愛することは、身体的にも健康をもたらす、とときどき激怒のあまり、体調を狂わすわたしは、身をもって体験するのであった。そういうわけで、バカンスはI LOVE YOUではじめたいと思っていま〜す。