ラクイラの地震

昨夜はいつもより遅く床につき、しかも疲れていたので、夜中にグラグラ大きく揺れているのは分かったが、一体現実なのか夢なのか、分からないまま、また再び眠った。
朝、同居人が「ラクイラがひどいことになってるぞ、夜中揺れてたよな」と言うのでTVを見ると、ラクイラの街のたくさんの家屋が粉々に倒壊している。イタリア時間、夜10時現在、亡くなった方は150人以上、怪我をなさった方は1500人以上、そして17000人もの方が自宅を失ったそうだ。
Il sole 24 ore 紙の電子版によると、実はこの地震は先月の28日に、当地の地質のリサーチをしていたGianpaolo Giulianiにより、すでに警告されていたと言う。http://www.ilsole24ore.com/art/SoleOnLine4/Italia/2009/04/terremoto-polemica-ricercatore.shtml?uuid=089d76fe-227e-11de-8bba-e0370d4c8b81&DocRulesView=
彼はラクイラのすぐ側にあるグランサッソ国立物理研究所に勤務する研究員で、2年あまり、ラドンその他の地質の状態をリサーチし、世界の地震研究の統計に基づいて、近日ちゅうに大きな地震が起こると、周囲の人々に話していた。また、ローカルのちいさい放送局のインタビューにも応じて、地震の危険性を人々に訴えようとしていたが、その警告に驚いて、道ばたにマットレスを抱えて飛び出す人が出てきたり、教会を片付けて立ち去る司祭、また揺れるたびに運動場に集まる家族も出てきたので、「かつて地震が予告されたことはない。むやみに地震の警告をして人々の心を乱し、パニックを起こさせるようなことをしている馬鹿!」とSulmonaの市長(ラクイラの隣の市)から検察に通報され、厳重な注意を受けていたという。この当局のジャンパオロさんへの対応は、現在物議をかもしている。すでに一ヶ月以上前から予震が始まり、毎日ちいさな揺れが続いていたのだ。3月31日からは、ラクイラの各学校は用心のために休校ともなっていた。
たった今、TVのニュースプログラムで何人かの地質学の権威が、「地震は予告ができない」と明言していたが、ジャンパオロさんの警告を聞き入れて、事前に人々を非難させることは出来なかったものかと思う。ジャンパオロさんは、TVのインタビューでは、昨日からご家族を遠方へ非難させて、無事だったとも言っていた。
まだ救助活動が続いている。ラクイラは山間にあり、気温が低いことでも有名な土地だ。イタリアはまだまだ朝晩の気温が低く、ローマでも夜半は防寒着が必要にもなるほどだから、ラクイラはもっと寒いことと思う。また、小雨も降り始めたようだ。今晩、自宅を無くしたご家族のため、アドリア海沿いにあるホテルそれぞれに5000室が用意され、被害を受けた方々への政府の対応が迅速だったのが、せめてもの慰めである。また民間でも、ウェブ上でも、寄付や場所の提供などのネットワークができつつある。
ラクイラは、750年あまりの歴史のあるアブルッツオ州の美しい街だ。一瞬のうちに歴史ある建造物が倒壊し、たくさんの人々が亡くなり、今晩イタリアは悲しみに包まれている。

http://www.ilsole24ore.com/art/SoleOnLine4/Italia/2009/04/terremoto-prima-dopo.shtml?uuid=5984c8a2-22aa-11de-8bba-e0370d4c8b81&DocRulesView=Libero