「なぜ、西側がこれほどチベットに肩入れするか」というリサーチ?

最近、普通に暮らしていてちょっと気になることがあった。イタリアの友人と話していて、「自分の若いジャーナリストの友達が中国で出す本の構想を練っている」というのである。そりゃ中国は巨大マーケットである。その若い優秀なジャーナリスト君は、その中国で一発場外ホームランを当てて、一攫千金を狙っているのであろう。それはもちろん個人の自由、野心はおおいに結構だと思います。われわれがとやかく意見することではない。


が、そのテーマがひっかかったのである。「なぜ、西側がこれほどチベットに肩入れするか」というリサーチだというのだ。本来であれば、このように情報源が曖昧で、しかも構想ちゅう、まだ実現していない著作について、批評、批判、言及すべきではない。実現し、結果が出るまで、黙っておくのが「筋」だと思う。しかし嫌な感じがするでしょう。このジャーナリスト君は何度か中国を旅し、マーケティングしたんだか、直感だかで「これは売れるかも」と判断したというのだから。もちろん世界は自由経済社会であり、産業は新たな消費を求めて市場のあらゆる隙間を狙っていて、手を変え、品を変え、アイディアを出し続けるからこの社会が成立している。お金が循環しているのだ。だからもはや『市場第一主義は文化を滅ぼす。モラルを崩す』なんて青臭いことを言いたいとも思っていない(「これは売れない」という基準で、かなり素敵なものを人々は葬り去ろうとしていることを心から残念には思うけれど。でもまあ最近はネットのおかげでずいぶんマシだ)。現実は現実として受け入れましょう。


わたしが嫌だな、と思うのは、この話を数日前のCorriere紙騒動のときに、たまたま聞いたからである。あれ、そういや件の島津洋一というジャーナリスト氏も出席し、北京の大学での西側、中国側、チベット自治区の忌憚のない意見を述べ合うという意図で開かれたというシンポジウムも、「われわれだってチベット問題を解決しようと思ってますよ、民主的に」という(しかしこの会合の結論のいい加減さ、ムシのよさには目を見はる!)、どう考えても中国政府のデモでもあるが、と同時に西側のジャーナリストが何を考えているのか、どういう心理でチベット問題に取り組んでいるのかをリサーチするために、大学という研究機関で行なわれたシンポ、とも考えられるな、などとも思ったのだ。
まあ、いつもの通り、考え過ぎかもしれないけれど・・・・・。

(そうそう、島津氏は、こんなサイトにもこんな記事書いてます。http://www.iivs.de/~iivs01311/EN/links.htm