さらば、ベルルスコー二、と言っておこう。

http://sankei.jp.msn.com/world/europe/090531/erp0905312132005-n1.htm

MSN産経ニュースでももう報道されているけれど、ベルルスコー二首相は、今度こそ、失脚しそう。サルデーニャの邸宅で開くパーティの招待客の送り迎えに軍(! 政府は軍の飛行機を使っている)の飛行機を使っていた場面が、ばっちり写真に撮られていた、というニュースもあり(軍の私物化)、教皇も今日、日曜のミサで、教育的に悪影響を及ぼすモラルの低下を嘆く発言もしていて、暗に現状を非難している格好。


もちろん、首相自ら未成年の娘たちを邸宅に呼んで酒池肉林、そこに招待されたチェコの前首相がミニスカートの女性とともにヌードで邸宅の庭を散歩するなど(本当に単純に「わあ、緑がきれいで、爽やかだね〜。ほらご覧、向こうに海が見えるよ、素晴らしいね」などと言いながら散歩していたとしても、首相がヌードはだめ!)、カトリックの国で許されるはずもない。かわいそう、チェコの国民の人たち。びっくりしたことだろう。

http://www.corriere.it/cronache/09_maggio_31/sarzanini_topolanek_villa_ba5ab006-4db1-11de-891f-00144f02aabc.shtml

しかしイタリアの庶民が、経済危機も手伝って生活がいきなりこんなに苦しくなって(ユーロ導入からこっち、イタリアの庶民の暮らしは、とてつもなく悪化した。そのユーロ導入の際も首相だったベルルスコーニが、EUのなかで唯一、新通貨に伴う物価の上昇をまったくコントロールせず、そのうえ資本家が好き放題に家の値段をつりあげて、今、普通に暮らす人々は悲鳴をあげている)、それでもけなげに頑張っているとき(外国人のわたしも含めて)、首相がこんなことしていたとは。しかも移民の人たちはもっと大変。食べることができないから、命からがらイタリアまで逃げてきているのに、まったく『人権』を無視されて、シシリアのランペドウーサ島に拘留され、絶望のため自殺者まで出ているのに。


ベルルスコーニ陣営からは、サンタンケ女史(内閣の一人)が今頃ヴェロニカ夫人の愛人問題(もちろん愛人は左翼の人間として・・・と思ってたが、今日の報道によると、夫人のボディガードということになっていた。いったいどういうストーリー展開になっているのか、さっぱり分からないが、本人たちもさっぱり分からないのかもしれない)を公表するなど(libero紙上でだが、libero紙は現首相の傘下)、時期を狙った左翼の陰謀説をまことしやかに語りはじめたり、これまたこの時期にパレルモがゴミで埋もれる問題が発生したり(前回のナポリと同じく、首相がまたマフィアと話しつけて解決するつもりだろうが)、いろいろ頑張っているけれど、もう悪あがきせずに、とっとと退陣して、お好きに余生を過ごしていただきたい。


さっきテレビを観ていたら、ベルルスコーニ陣営の政治家が、「イタリアのメディアは程度が低い。英国のタブロイド紙みたいな記事を、コリエレやレプブリカという大新聞が載せるなんて」などと言っていたが、観ていたわたしは口をあんぐり開けたまま、しばらく虚空を見つめた。英国のタブロイド紙が聞いたら、憤慨するだろう。「イタリアの政治と同じレベルで語られるとは!」とね。


まだ、結論は出ていないし、しばらくすったもんだあるだろうけれど、わたしは先に、Ciao Ciao、さらば、ベルルスコーニ、 と言っておこう。外国人だし、選挙権もないから我慢していたけれど、さすがにもうたくさん。フィアットも怒っていると思うよ。こんなイタリアを信じられないって、メルケルさんはオペルをよその国にゆだねたんだから。


といっても政権が左翼に変わるとは考えられない。次はフィーニ(現在の下院の議長)と予測しておこう。それしか考えられないから。フィー二さんはベルルスコーニと連立で自由国民党をつくったが、結党早々に「ベルルスコーニ、信頼に価せず」と発言していた。


フィー二氏はチベット問題にもおおいに関心を寄せてくれているし(これが一番大切)、チベットを応援するわたしたちにとっては、よい兆しともいえるかもしれない。チベットをしっかり支えてくれる、わたしたちの『人権』をしっかり守ってくれる人なら、わたしは右翼でも左翼でもどっちでもいいのです(わたしの友達は左翼の人が多いので、怒られるかもしれないけれど。わたしにとっては人間的で、約束を守れて、本当に公僕として働くことのできる政治家ー官僚も含め。庶民の税金で生活している人はみんなそうだーであることが一番大切なのです)。友達に怒られたときは、「わたしは外国人なので、イタリアの政治は複雑でよく分かりません」という態度に徹している。