チベット問題は、中国とEUの関係を苛立たせる。

この数日、チベット関係のニュースを検索すると、新華社のサイトがチベットの環境問題についてずいぶん報道している。

たとえば、http://news.xinhuanet.com/english/2009-06/18/content_11560507.htm とか http://news.xinhuanet.com/english/2009-06/18/content_11563421.htm で、チベットがこの三十年間で最悪の干ばつに見舞われていること、そしてNgari地区の湿地の保護のために37百万元を投入するという記事など。

さらに6月17日にこのブログで、同新華社http://news.xinhuanet.com/english/2009-06/17/content_11558020.htmのサイトで、チベット自治区の21,700,000ヘクタール、チベットの18%にあたる領域が砂漠化しているというラサからのレポートが掲載されていること、またそれが森林の伐採と、鉱物の乱獲によるものであり、現在砂漠化している地域を緑化していこうという計画があるということに言及したが、今日Phyulの記事を読んでいると、このサイトはなぜかクローズされているということであった。あらら、ほんとにクローズになっている。


しかしこちらで原文が読めるので、詳細はこちらで。http://chinatibet.people.com.cn/6681243.html
しかし、このサイトをちょっと覗いてみると、中国は中国なりにチベットを好きなんだろうな、という感じはする。http://news.xinhuanet.com/english/2009-06/19/content_11566993.htm では、ここ五ヶ月間で、チベットへの中国観客が190%に増加したとあるが、そりゃ、最近までチベットは閉ざされていたんだから(むしろ観光客に開かれているのは一部だと思われる)、一部を解放しただけで、そりゃ%は増えるだろうと思われる。実数は720,237の観光客がチベットを訪れた(ほんまかいな)。


ところで新華社はこんな記事も掲載している。「チベット問題は中国とEUの関係を苛立たせる」というタイトルで、これはパリがダライラマ法王に名誉市民を授与したことに、おおいに遺憾の念を表しているのだろう。中国のサイト上でのアンケートでは、90%の人がパリの英断に「おおいに反対、不満を抱いている」らしいから。

要旨のみ。
ダライラマが、最近「亡命政府の宣伝」を欧州で繰り広げている。(宣伝じゃなくて、事実を公正に知ってほしいと、各国で現実の報告がなされているだけでしょう)
EU各国と中国が国交をはじめたころは、チベット問題は両者の関係に何の障害をも及ぼさなかったが、残念なことに、ここ10年の間、チベット問題は、EUと中国との関係に摩擦をもたらす大きな障害になってしまった。
実際、この10年の間、中国は世界に大きな影響を及ぼす大国に成長し、いまやGDP第三位を誇るまでになったが、その事実が、昔、力を持っていたEUの国々、たとえば英国、フランス、ドイツに衝撃を与えたのは疑いのないことだ。また現地では中国移民とEUの住民との間で小競り合いが起こることもたびたびある。
そもそも中国の国内問題であるにも関わらず、「人権問題」、「宗教の自由」、「報道の自由」が蔑ろにされている、とチベット問題を持ち出すのは、今はおちぶれようとしているEUの国々が、さらに大きく成長しようとしている中国へ威信をなんとか示したいためであろう。中には、中国の経済発展を押さえ込もうとしてチベット問題を持ち出す政治家たちもいるのだ。(つまり欧州は中国に嫉妬しているってこと? ほんと? こっちじゃ、中国は巨大マーケットだからって、大喜びで大歓迎されている感じがするけどね。欧米の経済家たちは、中国内需を早く充実させてほしいんじゃないの? 売りまくりたいんだから。チベットの問題は政治的な絡みももちろんあるけれど、基本は「正義」「良心」という人心&モラルの問題だと、ほとんどの人々は認識しているはず。少なくともイタリアじゃそうだ)
このEU-中国間の緊張は、もちろんダライラマ一味の陰謀でもある。EUは、中国に干渉すべきではない。

しかし中国の経済がこのまま発展していくにつれ、ダライラマ一味とアンチチャイナグループの力は弱まっていくだろう。ダライラマ一味もサポートを期待できなくなる。欧州のチベットサポートのNGOは約200あり、200000人のメンバーがいるとされるが、彼らは政治家とつるみ、EUと中国の関係に障害をつくり、緊張を高めている。


ひええ。われわれのモラルとはまったく違う次元で報道されているんだね。しかしEUの国々って、経済がらみになると(私生活はともかく)もう少し老練で、子供みたいに嫉妬したり、ヤキモチ焼いたりせずに、クールに淡々とビジネスライクだけれどね。こういう記事を読むと、中国って本当にテクノクラートによって構成されているのかな、と不思議になる。そして、驚くのは、「ダライラマ」一味とあるけれど、「ダライラマ」っていうのはすでに尊称で、ダライラマと言った途端に法王を称えているんではないのかな? 称えつつ、一味呼ばわりってまったく頓珍漢な表現だ。また、お金は生きてゆく上で大変に大切なものだけれど、すべてのものがお金で買えると錯覚しているのは、かつてのホリエモンといまだに反省することのないイタリア首相ぐらいだ。中国の若き青年たちよ、こんな記事に惑わされず、ぜひ、もっと世界を知って、いろんな人と出会って、いろんな意見を聞き入れる大きな心を持ってください。中国には素晴らしき先人が大勢いるではないか。