チベット医学は癌を治す

チベット医学と西洋医学の接点」という項目で、Pagliato先生の「腫瘍学における瞑想」という論文(あるいはエッセイといったほうが良いかもしれないが)を訳しているところだが、なかなかまとまった時間がとれずに先に進めずにいる。まだ少し先にはなるが、この論文はやがて少しづつ訳していくつもりだ。

ところで、ざっとチベット関係の記事をリサーチしていると、次のような記事を見つけた。6月12日のThe Times of Indiaの記事で、そのタイトルもずばり、「チベット医学は癌を治療する」というものだった。ほらね。チベット医学は、「え、ほんとうにそんなことがあるの?」という、奇跡的な威力を持つ。わたしの周囲でも、肝臓を患っていた青年が手術の前日、どうしても手術が嫌だと担ぎ込まれたチベット医師の治療でみるみるうちに回復し、イタリア医師も含め皆があっと驚いたという例がある。また、治療を受けるうち、子宮筋腫が消えてなくなってしまったというご婦人にも会ったことがある。
では、ニューデリー発のニュースを多少省略しながら訳してみます。

「約2000年の歴史を持つ、薬草と精神療法を主に治療法として用いるチベット臨床科学は、癌、またはサラセミア(貧血症)などに大きな効果がある。いまのところまだインド政府からは正式に認証されていないのだが...」インドでチベット医学を用いて治療に従事する医師の一人はそう言う。


チベット医学のシステムを使った治療により、症状の緩和が期待できることは事実だ。もし、チベット医学というものをインド政府が正式に認証してくれたなら、自分たちの国を持っていない我々チベット人の、チベット医学を志す学生たちは、さらにリサーチする機会が得られ、研究を深めることができるはずだ。Tsewang Dolkar Khongkar女医は付け加えた。

1981年から、チベット医学の医師としてニューデリーで活動しているKhongkar女医は、インド国内のみならず、ヨーロッパ、アメリカからの患者も訪れる癌の専門医である。彼女はまたこれまでの業績により、Bharat Nirman Affiliation Certificateに認定されている。

彼女はチベット医学のシステムは、インド、中国、古代ギリシャのヒーリングメソッドとも関連しているとも言う。また、聖なるテキストとされるペルシャの「Phamacopia」を仏教的な薬草治療の見地から理解され、研究されたものでもある。


その知識体系はシッダールタの輪廻でもある、治療の象徴であるブルーの「medicine Buddha(薬師如来)」に統括されていて、アーユルベーダのシステムとも相似しており、風、胆汁、粘液、そしてそれぞれのカルマとの関係をも考慮され、診断される。

実際の治療は、脈拍の分析、尿分析を行ったのち、食餌療法、占星術、薬草、あるい鍼灸などをミックスして行われる。


Khangkar女医は、チベット初の女医で、ダラムサラで医師として活動していたLobsang Dolma Khongkarの娘でもあり、父親もまた医師である。彼女は医師であった母親から多くを学んだ。

「最近の若いチベットの医師たちは、あまり占星術のことを学ばないが、実は非常に大切なものだ。星の動きに、脈拍は大きく影響されます」

彼女は癌の治療で大きな評判を得ている。


パンジャブ、Uttarakhand、またムンバイから、毎朝たくさんの患者が彼女のスタジオに訪れるが、「わたしは海外の患者には、わざわざインドに来る必要はない、というのです。どのような症状であるか、電話で話してくれればいいのです。そうすれば薬を送ります」と彼女は言う。薬は彼女の自宅、そして彼女もまた医師でもある妹のいるダラムサラで調合される。


「わたしの患者の60%は癌で苦しんでいます。チベット薬は、その患者たちに希望をもたらす。内蔵に患部がある癌患者には3年の間、チベット医学による医療を続け、癌が再発しないように、また胸部に患部がある患者にはさらに10年の歳月の延命をするようにと治療しています」


すべての器官は、それぞれに異なるエレメントで構成されているため、それぞれに違う薬草を必要とする。


「薬を調合するのは、大変に難しい作業です。薬草は、Himacal Pradeshでのみ採取され、18の薬草をブレンドしないといけない種類の薬もある。すべての薬草はピュアでなければならない」

彼女はチベット医学がアーユルヴェーダと同様に市民権を得ることを願っている。


チベット医学はヨーロッパでは、スイスに大きなチベット薬のラボラトリーもあり、比較的知名度もあるが(少なくとも日本よりは一般に知られていると思われる)、イタリアでも何人かの医師が暮らしていて、医療の専門家のために各地でたびたびコースが開かれている。また、瞑想やマントラ、マッサージなどのコースも一般の人に向けて開かれてもいる。医療知識がまったくないわたしのような一般の人々にとって、思い切ってライフスタイルを変えて、健康に暮らしたい、と思うときなど、チベット医学をベースにして行われるコースの内容は非常に有益だ。


中国政府もまた、チベット医学をサポートしているようで、チベットに転居した中国人の体験談とともに、チベット医学が今後経済の一端を担う可能性があるという記事が2004年のファイナンシャルタイムズの記事にある。会員制なので、registerしなければいけないが、ホームページからTibetan medicineで検索すれば、すぐに出てきます。