鳩山氏、ダライラマ14世をサポート 2007 11/23 のMSN産経ニュースより

民主党の新代表には鳩山さんがなったんですね。ということで、そういえば一昨年あたりに鳩山さんはダライラマ法王と会談していたなあ、と思い出して調べると、次のような記事がみつかったよ。


民主党鳩山由紀夫幹事長は23日、都内のホテルで、来日中のチベット仏教の最高指導者、ダライ・ラマ14世と会談し、14世が中国に求めている「高度な自治」を支持する考えを表明した。


チベット独立の精神的象徴でもある14世の日本入国を「祖国分裂活動に場を与える」(劉建超報道局長)と批判している中国政府が鳩山氏の発言に反発するのは必至だ。
14世はチベットをめぐる現状について「(高度な自治について交渉するため)右手を中国政府に差し出しているが、何も得られていない。だから左手で、欧米や日本の支援者に助けを求めている」と説明。鳩山氏は「(14世の)右手が満たされるまで、左手を力強くサポートさせていただく」と述べた。
会談に同席した超党派の「チベット問題を考える議員連盟」代表の枝野幸男同党元政調会長も「参院第一党のトップリーダーの発言は非常に重い」と同調した。
14世は宗教団体の招きで15日に来日、講演活動などを行った。


お願いしますよ、鳩山さん! よい知らせを待ってます。男に二言なし。


ところで、論文を訳すのはまとまって時間のあるときに少しづつやっていこうと思っているので、きっと週に一回アップできるとか、そんな感じになるかもしれない。性格上、勉強するとなると、速度がいきなり落ちてしまう。


さて、今日昼間、松岡正剛の連塾での講演の一部『神仏たちの秘密』を読んでいたのだが(しかし松岡正剛ってほんとに面白い。一時期、ネットで『千夜千冊』を読みながら、この人の読んだ本を、わたしは一体何冊くらい読んでいるんだろうと勘定したことがあるが、すぐにやめた。第一わたしと松岡正剛氏では、読み込み方がちがうし、わたしの場合、読んだ本の80%の内容は忘れてしまうのだ。過去、自分で調べ上げて書いたことすら忘れてしまうので、始末に負えない)、その連塾での講演(2003年)にも鳩山由紀夫民主党新代表は出席していて、「いまの日本は、アメリカやEU、さらに中東、イスラム、あるいは北朝鮮や台湾やチベットにどのように対応していいのかがわからなくなっています。こういうときには、かつての日本人が、いったいどうやって和漢や和洋をアワセてきたのかということを考えなおす必要がある」という松岡正剛さんの講演を聞いてらっしゃった。そういうわけで、くどいようだが、どうぞよろしくお願いします!


閑話休題。その『神仏たちの秘密』のなかで、ラフカディオ・ハーンのちょっと素敵な話があった。明治以降の日本は、安易な西洋化をどんどん薦めてしまったという傾向があるが、一方で日本の伝統文化に惹かれ、日本人以上に日本に強い思いを抱くに至った外国人たちがいる。ラフカディオ・ハーン小泉八雲もその一人で、ギリシアレフカダ島で生まれた彼は、アイルランド人の父親の原郷、ギリシア人の母の原郷のふたつの神話世界を幼いころから持ちながら、両親の離婚もあって、常に異郷を転々する数奇な生い立ちを持ち、アメリカに渡って新聞記者になった。1884年ニューオリンズ万国博覧会が開催されたときに、日本の展示場に衝撃を受け、以来日本への憧れを募らせていく。


新聞記者として念願の日本訪問がかなったが、のち出版社との契約関係がもつれてしまい、ハーンは島根県松江の中学校の英語教師をつとめることになった。そこでハーンは日本家屋に住み、日本人の奥さん、セツを娶り、日本人以上に日本人らしい暮らしぶりに徹底していく。セツと息子の一雄、それにいろんな事情で転がり込んできたセツの家族や親戚たちも合わせて、ひとつ屋根に十一人が暮らす大所帯となっていくが、一所不在の半生を送ってきたハーンにとって、異国の日本で出会ったこの「家族」がとても大事なものになっていく。


「私は自分の家に十一人の世界を持っています。この人たちにとって私は愛であり、光であり、命の糧なのです。私が幸せそうなときは皆とても幸せそうです。私が不機嫌なときは、家族は私以上に心を痛めます。だから私はいつも正しくあろうと努めています」


ハーンはこんなことを書き残しているそうだ。松岡正剛は、まさにこれが日本の家であり、日本のコミュニティであり、コモンズ、だと言っている。他にもハーンについては、有名な『怪談』、再話という方法が、日本の面影を通じて、世界的なクレオール文化に仕立てるためのリテラシーだったのではないか、などの分析をはじめ、この本のなかには日本についてのいろいろ興味深い分析がいっぱいで先を読むのが楽しみだ。わたしはイタリアにいてチベットのことを毎日考えているけれど、祖国のことだって毎日考えているのです。